流華の楔
劣勢に立たされる長州を一掃するべく合流した、新選組と会津藩。
長州 対 会津・新選組
双方の刀が交わると、
瞬く間に血の臭気が広がる。
一方を相手取る為に他方に注意が行き届かず、危うい場面もしばしば。
「(永倉さんの背後、がら空きだ…)」
思った通り、そのがら空きの背中を長州藩士が狙う。
しかも、
永倉は気づいていない。
「…ったく!」
まずは、今自分が相手している志士を斬る。
そして素早く懐から小刀を取り出し、永倉の背後へそれを投げた。
「ぐあッ!」
「な、なんだ?」
「永倉さん、後ろがら空きです」
額に命中した小刀を引き抜き、袖で血を拭き取る。
「うわ、マジかよ!? すまねぇ新崎!」
「いえ。戦いはこれからですよ……っ!」
一人、また一人。
向かって来る敵…もとい故郷の藩士を幾人も斬った。
その間にも、兄の姿を捜す。
斬ってる間も。
間合いを取る間にも。
そのせいで、和早の身体には幾つもの傷が付いていった。