流華の楔





結局、兄はいなかった。


転がる亡骸を見ても、どこにも見当たらない。


今回は参戦していなかったということだろうか。




何にせよ、死んでいないならそれでいい。



「とりあえず、終わった…」



地に膝をつく。

そして、大きく息を吐く。




「長州生まれの人間が、長州の人間を殺す、か…」


笑いたいのに、笑えない。

泣きたくもないのに、勝手に涙が頬を伝う。



虚無の雫が、傷に滲みた。




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