流華の楔
急に重さを感じたと思えば、和早の意識がなくなった。
「おい……和早? おいッ!」
和早は強い。
精神的、おそらく肉体的にも。
下手すれば自分も負けるほど。
そんな和早が、
傷ついてふらふらで。
挙げ句、ぶっ倒れて。
「何があったんだよ…?」
固まりかけた頬の血を、指で丁寧に取り去る。
死んだわけではない。
それくらいわかってる。
わかってるのに、手の震えが止まらない。
もしかしたら永遠に眠ってしまうのではないか。
そう思うと。
「頼むよ…なあ…、起きろ!」
無意識に、そう叫んでいた。