流華の楔

「お前に言ってどうなる？ 和早の境遇を変えられるのか？」


容保が突き付けた言葉は、あまりにも残酷で。

土方は「いえ」と答えるだけに留まった。



「ですが、新崎は我々新選組の仲間であって――」


「仲間、か。その言葉が、どれだけ和早を苦しめただろうな。お前たちの知らぬところで」


「……っ」


「この者を表に出したのが間違っていたのかもしれぬ」


「…間違い」


もし本当に間違いであるならば、自分たちの出会いも間違いだったということになる。



「そうだ」



それは違う。


駄目だ。
このままでは、駄目だ。




「松平様」


「…なんだ？」


「新選組には、彼女の存在が必要不可欠なのです」



容保の表情が厳しくなる。けれど、こちらも引けない。



「俺には、彼女が必要なのです」




新選組にいることで、和早の精神が崩れていくというのなら。







「俺が彼女を支えます」