流華の楔
***
土方は思う。
「………」
怪我をした以外、和早は無事で、容保の発言も己を試していたものだった。
なのに、どこか引っ掛かる。
「(松平様のあの言葉…)」
“和早の境遇を変えられるのか”
“仲間という言葉が苦しめた”
「………」
口から出任せに出る台詞か。
否。
容保はあの時本気だった。
本気だったから、心臓を酷くえぐり出されるような感覚に陥った。
「あれも…」
嘘なのか、
と聞こうとしてやめた。
聞いたところで、はぐらかされるだろう。
「(…ま、いいか)」
もし真実だったら、
それはそれで空しいから。
今は、彼女が新選組であり続けることが一番の望みだから――…