流華の楔
緊張の色を助長させている原因は彼の童顔にあると思われるが。
やはりあの過剰な態度の理由を聞かねば気が済まない。
「女嫌いなのですか?」
ずばり尋ねると、伊東と旧知の者はさらにオロオロした。
「さあ…私もよくわからないのですが…婿入りしてから少し女子が苦手になりまして…」
「…婿入りですか。もしかして伊東さん、その奥様の尻に敷かれてませんか?」
「え? どうしてそれを…」
原因それだろ、と全員が突っ込んだ。
「大変ですね……あんなになるまで…」
「…??」
同情の言葉に頷く者大勢。
伊東はきょとんとするばかり。
「(大丈夫なのか、この人…)」
内心、盛大なため息をついた。