流華の楔
『俺が彼女を支えます』
多少なりとも嬉しかった。
新選組に…土方に必要とされていると。
暗殺や政の道具としてではなく、存在そのものが必要とされていると。
「あの時の言葉は…その場しのぎですか」
「違う」
「では何故。私が騙したから?」
「違う!」
土方は命よりも大切なはずの刀を投げ捨て、手近な壁に和早の細い体を押し付ける。
「…っ」
突然の出来事に目を見張ると、苦しげな表情の土方が目前にあった。
「その場しのぎ? 騙されたから? はっ、違ぇよ。自信がねぇんだ、俺には…」
消え入る声で言葉を継いだ土方の指が肩に食い込み、痛みをもたらした。