流華の楔
「…お前の事は信じてるつもりだった。これだけ新選組に命かけてくれてるんだからな」
それでも
「それでも…松平公の言った事が頭から離れねぇ」
“仲間”
“境遇”
「本当のお前がわからない…」
割り切ろうと。
容保が言った事を忘れようと、ずっと言い聞かせてきた。
伊東の入隊など、もはやどうでもよかった。
近藤が伊東をもてなしている時も、土方はそれだけを考えていた。
「本当にお前を信じきれているのか…自信が、」
「良いじゃないですか、それで」
「…何…」
「わからなくても、信じられなくても、土方さんには関係な……っ」