流華の楔
山南とあまり関わっていない自分でも沈んでいるのだから、皆はさらに落ち込んでいるのだろう。
そう思いながら、縁側で空を眺める。
仲間が死ぬ度見上げる空。
今日の空も、雲一つない快晴だった。
「なんだろうな、この気持ち…」
空が滲んだ。
一滴の涙が地面に落ち、小さな染を描く。
そういえば。
忘れていたはずの涙の流し方を、思い出したようだった。
「またか…。もう一生泣けないと思ってたんだけど」
“泣くな
感情を殺せ”
そう命じられた時から。