流華の楔




ぎし、と板がきしむ音に振り向くと、土方が遠くの方を見ていた。


多分、空を見ているのだと思う。


山南を送り出した、空を。



「…お前もか」



またかよ、とでもいうような口ぶり。
確かに、芹澤や新見が死んだ時もこうして二人で空を見たのを覚えている。



「…いい人でしたね、山南さん」


ぽつりと呟けば、土方が隣に座りながら「ああ」と言った。


「本当に尊敬できる人だったよ。人としても、侍としても」



「………」



無言が、肯定。
和早は空へと目を戻した。



その時。
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