流華の楔



和早と土方が並んで歩くのを、幹部達は「なんだ?」という表情で見送った。


二人とも偉く神妙な顔つきだったからである。



強いて言えば、戦前の気張った形相のような。









和早は客人を待たせてある一室の前で止まり、一呼吸する。




「お待たせしました」










「…あ、新崎様!」



「っ…、お前は」




町人ではなかった。



和早を認めた瞬間身を乗り出して駆け寄ってきたのは…



町人の格好をした、昔馴染み。





佐上 正太郎
(さがみ しょうたろう)





父の、側近だった。





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