流華の楔
「新崎様…ご無事でよかった!」
和早の手を握り、嬉し涙を流す佐上。
大名の側近と言え、歳はまだ二十二。
数年ぶりの再開が余程嬉しかったと見える。
「佐上…なぜお前が…!」
ぐいと引き寄せ、耳元で尋ねる。
一度はよろめいた佐上も、和早の凄みに真剣さを戻した。
「そ、それが…」
「……」
和早の耳元で、話し始める。
「父上が……死んだ!?」
「はい。一ヶ月程前に体調を崩され…そのまま…」
「……っ」
父が、死んだ。
それが何を意味するかぐらい、わかっている。
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