流華の楔
「…さすが父上」
呆れを通り越して尊敬に値する。
長州の表高は、三十七万石。
しかし、余剰高を含めると実質は百万石ほど。
これを財源に、藩財政とは別に毎年数千両を積み立て、新田開発や専売制、金融などのために運用し資本を増やしたのだという。
それを百年も行ってきたのだから、金は棄てるほどあるはず。
「藩そのものが一種の独占的な商業団体のようなものだから、それくらい容易いのかもね…」
思わず苦笑い。
長州はそれほどまでに武力増強に力を注いでいたのだ。
なら、このままでは…
「大々的な戦になったが最後、幕府は落ちる…」
家茂も、容保も。
新選組も会津藩も皆。
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