流華の楔



「せっかくだし、甘味処でも行こうか。入隊おめでとう、ってことで!」


「……え?」


意外だったというか――藤堂が甘味処という言葉を出してきたことに一瞬驚いた。

藤堂くらいの歳なら酒だ女だと言っても良いはずなのだが。



「平助君…あなたはただ自分が甘味が食べたいだけでしょ」

「………」


無言、すなわち肯定。




「(ああ…なるほど)」


藤堂平助は、想定外の甘味好きだった。




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