流華の楔
折が合わなければ、除隊も仕方がない。
容保のもとに戻ることも有り得るだろうと思っていた。
なのに、和早を待っていたのは意外な一言。
「お帰り」
土方の口から出たのかも怪しいほど、優しいそれ。
心なしか目元もいつになく情を孕んでいた。
後から後から和早を出迎えようと広間に集まる幹部は「大丈夫か」だの「具合はもういいのか」だのよくわからないことを言っていたけれど。
これも土方の気転だと思えば納得がいく。
「それにしても、遅かったな斎藤君。しばらくあちらに残ると言ってはいたが……まさか新崎君と一緒だったとはな」
近藤の言葉に一瞬周囲が「え」と漏らした。
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