流華の楔
土方の室は、月明かりだけが滲むだけでほぼ暗闇の状態だった。
今の今まで広間にいたのだから当たり前だが。
ここで何度向き合ってきただろうかと、ただただ考えてみる。
「ったくよ…」
お互いに無言だったが、切り出したのは土方の呆れたような一声。
「あいつら、どんだけお前が好きなんだ? 離す気なかっただろ」
「……はは」
三人に酷く絡まれたのを嫌でも思い出す。
「まあ、それだけ心配してたってことなんだろうけどな」
ニッとわらう土方。
つられて和早も苦笑いに似たものを零した。
そして、意を決する。
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