流華の楔
「……知ってますよ」
和早に届くか届かないかの声。
なんの前触れもなく紡ぎ出された声音は、悪戯を覚えた子供のよう。
「………、」
何事か、と。
言葉に詰まる和早の耳元に、沖田が唇を寄せる。
「あなたが突然消えた理由……ほんとは病気じゃないでしょう」
「………」
まあ、そうだ。
しかし本当に沖田が己の事情を知っているとは思えない。
“かま”をかけている可能性もある。
さて、どうする。
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