流華の楔
「ま、いいですよ。無理に答えなくても」
その一言に、土方は胸を撫で下ろす。
「ただ」
思わず顔を凝視してしまうほど怒気を含んだ声音。
「手離したくないものがあるんだったら、死ぬ気で繋ぎ止めるくらいの覚悟を持った方がいいと……俺は思いますけどね」
「……っ、」
正直、最後のこれが一番きつかった。
見透かされたというよりも、斎藤の方が数十歩先を歩いているようで。
「わかってるさ」
そう返すのが精一杯だった。
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