流華の楔






「ま、いいですよ。無理に答えなくても」



その一言に、土方は胸を撫で下ろす。





「ただ」



思わず顔を凝視してしまうほど怒気を含んだ声音。








「手離したくないものがあるんだったら、死ぬ気で繋ぎ止めるくらいの覚悟を持った方がいいと……俺は思いますけどね」



「……っ、」




正直、最後のこれが一番きつかった。

見透かされたというよりも、斎藤の方が数十歩先を歩いているようで。




「わかってるさ」



そう返すのが精一杯だった。



.
< 243 / 439 >

この作品をシェア

pagetop