流華の楔




暫くして。


平静を取り戻した土方は「さてどこから説明したらいいか…」と悩む。


その後、何を思ったのか唐突に和早のすぐ隣へ近寄り、そこに座った。




それでも予想していたのか、和早の眉目はなんの反応も示さない。

他人に聞かれない為だというなら当たり前の距離だったからだ。





「伊東は攘夷という点に限っちゃ新選組と一致してるが、佐幕派かと言えばそうじゃねえ。いわば勤王だ。お前が帰郷してる間も、あの人はいろいろと動いていてな……」




土方が説明する間、和早は頷くでもなく口を挟むでもなくそれを聞いていた。





抱いていた懸念が現実となりうるかもしれない、と。


伊東に近しい藤堂の身も危ぶまれることを示唆しているのではないか、と。









他人の死が怖かった――。




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