流華の楔
「…――何だと!?」
自室で文書を読んでいた土方は、観察方・山崎烝の報告に目を剥いた。
「平助とあいつが――しかも真剣でだぁ?」
「止めますか?」
「……いや、いい。私闘は厳禁だが、あいつらがやってんのは試合なんだろ?」
「は。そのようです。一応沖田さんに確認したのですが…“試合だ”と言い張られました」
淡々と報告を続ける山崎。
本当は自分も試合を見届けたかったのだが、と思いながら土方から目を逸らした。
「まあ…あいつらは剣術バカだが馬鹿じゃねえ。ちゃんと考えがあってやってんだろうさ……」
「……それもそうですね」
しかしやはり……。
「(彼の剣を見たかった気がしなくもないな……。いや、今なら間に合うか…?)」
「あ。ちょうどいい……山崎、この文を松本先生に届けてくれ」
「…………は」
山崎、土方の命令に散る。
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