流華の楔
どう答えたら良いのやら、悩む。
そうしている間にも、永倉はいつになく焦っているようだった。
「さ、左之さんよ……あの話、マジだったのか?」
永倉が言っている“あの話”というのは、和早が入隊した当時の宴席でのことだろう。
今となっては懐かしい、遠い過去の。
「……お前は黙ってろ新八」
「…お、おう」
「………」
藤堂は前を向いたまま何も返さない。
何を見、何を考えているのか。
原田は続きを待つ。
「最近……あいつは“誰かの物”になれる存在じゃないと思えてきてさ」
「ほーう?」
これはまた奥が深い。
腕を組み替え、原田は藤堂の話に聴き入った。
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