流華の楔
「……後悔してますか」
「………」
永倉は「は」と息をのみ、透き通った瞳で和早を見つめた。
「……後悔、か。してるさ。多分、してる…」
き、と唇を噛む。
視線と同時に睫が揺れ、俯いた刹那――髪がそれを隠した。
「あいつを……平助を止めてやれなかったことも、伊東さんの話を断ったことも」
声が震えていた。
小さく紡がれるそれらの言葉一つ一つが、和早の深層に届く。
「今さらって気もすっけどな…」
ふっ、と笑う。
自嘲するような、それでいて諦めを含んでいた。
「(…―――あ、)」
和早は、見えない傷が心に刻まれていくのを感じた――。
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