流華の楔




数十日、数ヶ月と、日は刻々と過ぎていった――。


その間新選組と御陵衛士は自然と互いを避け、引き合わせる要因も去ることながら、これといった騒動は起こらなかった。







和早はと言えば、観察方の仕事を滅多に貰えぬが為に定期的に容保を訪ねたり、専ら新人隊士の育成にあたっている。


他幹部(主に沖田)と違い“彼”の指導は判りやすく丁寧だと評判である。



本日もまた、彼を慕う隊士が彼の周りに集まりつつあった。







「あ、あの…!」



三人の新人が揃って和早に声をかけた。

心なしか緊張しているように見える。






「……何?」



ここに女子がいれば思わず吐息を漏らすであろう、男さながらの声音。


愛想なさを醸しつつも、その目はきちんと相手を見ている。


その誠実さを、皆は慕うのだ。







「え、と……その…」



「用があるなら、手短に」



凛。

素っ気ない言葉の中に、そんな音が聴こえそうだった。




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