流華の楔
「それは異なこと。かの信長公を凌ぐ器量と武、優れた知略の数々……総じて考えればそなたを長と呼ばずして、」
「黙れ。私は誰かの下に付いてこそ生きられる身。戯言は貴様と言えど許さない」
和早は瞬間的に刀を抜き、燕尚の首元に突き立てた。
それも、人に見られぬ絶妙な位置で。
「くっくっく…。やはり見立てに違わぬ素晴らしき武よ」
「…相当死にたいらしいな」
「ふむ。天下の宝刀とそれに相応しき主……切り刻まれるが誉よ」
「ちっ…」
食えないやつめと呟き和早は刀を降ろした。
このようなところでふざけていては埒があかない。