流華の楔
「そなたを纏う邪念より更に禍々しい……最高の材料」
「材料?」
「ちょうど新しき呪詛の糧を探しておったのだ」
「呪詛!?」
いったい何をする気だ。
「訳を話す気はないが。それを渡してくれるというならば相応の望みを叶えよう」
ゆっくりとした口調がせわしなく過ぎる人の流れにかき消されそうになる中、変わらず燕尚を見据え続ける和早は……。
「……例えば?」
「そうよのう……例えば。そなたと共鳴し合った宝刀の邪気に当てられ死に逝かんとするひとつの命。そして…邪気を一身に受けるそなた自身」
「………!」
和早はただ愕然と燕尚の含み笑いを見つめた。