流華の楔
まやかし?
答えは、否だ。
非現実的な事象など信じてはいない。
けれど。
虫が良いとはわかっていても。
己が信じずしていったい誰が信じる。
「土方さん。私が保証します。沖田さんの病は治りました」
冷たく、それでいてどこか熱い瞳が土方を射抜いた。
忠義を尽くす時のものでも、戦の時のものでもない異彩を含み。
土方を圧倒させた。
「……正気か?」
「至って」
それ以上でも以下でもない、真実を述べたまで。
困惑の色を隠せない土方を暫し見据え、湛えていた鋭気を鎖し、和早は微笑んだ。