流華の楔
「まぁ惚れちゃうのは仕方ないですよね。男所帯ですし」
抱えていた坪を離し、土方の前に胡座をかく沖田。
苛立たしげにこちらを睨む上司に当たり障りのない笑みを向け、いつも通り茶化した。
「そうでなくても、あの人は優しい。自分を犠牲にしてまで他人を優先する。だから…」
みんな、彼女の優しさに甘えて。
気付かないうちに、惹かれてしまうんだ。
容姿とかじゃなくて。
彼女の、本質に。
それに気付いたのは、いつだったか。
「僕は、彼女のために生きる」
「……総司?」
「あははっ! どうしたんですかその顔、間が抜けてますよ? 真面目な僕がそんなに珍しいですか」
彼女に貰ったこの命。
どうせ使うなら、彼女のために。
その決意は揺るがない。
「まさかホントに三つ巴…いや、それ以上か。ま、そういう事で。お休みなさい」
「あ、おい、総司…!」
とりあえず、宣戦布告。