流華の楔
伊東を迎えた、酒宴の席。
監察方、山崎烝の内心は荒れていた。
驚愕の念をひたすら隠し、隣で平然と酒を飲む幹部を見遣る。
「原田隊長」
「……あ?」
「あの方は本当に…」
「新崎だ」
「です、よね…」
てか、どうしてこんなに冷静でいられるんだこの人は。
暗殺対象の伊東は勿論、あの副長や局長でさえ鼻の下が伸びかかっているというに。
恐るべし、原田左之助。
「うわっ」
「………」
「あっ、鼻血が…!」
「…………」
「うわ見える見える見える」
「あーうるせぇな山崎! 見えたら儲けもんだろ! …あ、しまった」
全ての視線が二人に向いた。
冷たいのと、生温いのと、いろいろ。