流華の楔
全員がつどうには少々狭く感じる広間に、ようやく皆が集まった。
「…芹沢先生、どうぞ」
近藤の一声で、ざわめき立っていた部屋に静寂が宿る。
「俺達はこれより、新選組と名乗ることになった! 会津様直々の命名だからな。…十分に努めよとのことだ」
勝ち誇る笑み。
嫌に耳につく笑い声。
そんな“芹沢鴨”は、土方すら苦戦する不動の存在。
「………」
和早はその様子を壁際で眺めながら思う。
「(……あの男が中央に座らなくなる日も近いな…)」
和早は少なからず感じ取っていた。
新選組という名誉ある名が与えられた集団に、遠からず分岐点が近づいてきていることを――。