流華の楔
残るは平助だな、と土方が嘆息する。
「油小路に遺骸を放置しておいた。伊東派には今夜中に伊東死亡の旨を知らせるが……現れた平助がどうなるかはあいつら次第だ」
「永倉さんと原田さんですか」
甲冑を着込み、二十人ほど隊士を引き連れて出ていったのはその為だろう。
「行くとか言うなよ?」
「…いえ」
とは言うものの、胸騒ぎがする。
行かなければという焦りばかりが先行し、拳を握った。
「あーわかったわかった。和早、お前は永倉と原田の援護に回れ。相手も相当な手練れだからな」
「はい、失礼します!」
「…気を付けろよ」
に、と笑う土方。
見透かされたようで癪だが、今は言葉に甘えよう。