流華の楔
「っ、間に合ったか…」
「新崎さん…何故…っ!」
三浦の刃を受け止めた和早は、脇腹の傷を気にしながらもそれを払う。
粛清すべき相手を庇ったことで、隊士たちは少なからず動揺したようだった。
「あっ…新崎、血が!」
淡色の衣を染める赤黒いそれに、藤堂は息を飲む。
「これくらい問題ありません。それより藤堂さんは一刻も早く屯所へ」
「でも!」
「…早く」
次第に霞んでいく視界。
どうやら血を失い過ぎたらしい。
「ごめん」と言って屯所の方へ走っていった藤堂を見送り、地に刀を着ける。
「(限界か…)」
和早は目を閉じた。
誰も斬りかかってこないのは、篠原が言っていたことに関係があるのだろうか、と思いながら。