流華の楔
「何じゃ若侍…黙っとらんで何とか言うたらどうぜよ」
「……」
佐上は沈黙を貫き、龍馬の言葉にも耳を貸そうとしなかった。
おそらく、ためらっている。
幼馴染であり想い人だった女を捕えるか否か。
「佐上、私に縄を打て。…どうせそう言われたんだろう」
「……っ」
…嗚呼、やはりな。
和早は額に汗を浮かべる佐上を諦めを含んだ表情で見た。
死罪は免れないだろう。
己の身分を知る者が多数いる中で、旧幕府の臣の為に立ち回ったのだから。