流華の楔
最期まで新選組の一員として生きたあの人は、坂本龍馬の銃弾に倒れた。
どうせ死ぬなら仲間の手で──そういう事だったのだろうか。
…そこからは全く覚えていなかった。
倒れていく彼女の身体に頭が真っ白になって、動けなかった。
あの人が死に際に遺した言葉だけがずっと頭の中に響いていた。
絶え間のない涙を流す藤堂を見て、ああやはり彼女は死んだのかと思った。
…伝えなければ。
今も会津で戦い続けている土方に。
和早が身を挺して護ったものと、あの言葉を。