流華の楔
禁門の変。
あの時、容保が言っていた意味はこれだったのだと土方は悟った。
和早が背負っていたものは、一国の重みと責任。
何が「彼女を支える」だ。
無責任にも程がある。
解った振りをして「護る」「支える」と豪語しておきながら。
結局何も解っていなかったんだ。
「あいつは心底お前たちに惚れ込んでいたからな。…自分の矜持を貫いて死んだのなら、私は何も言うまい」
「……申し訳、ございませんでした」
畳に額を押し付けるように頭を下げた。
長い黒髪で涙を隠しながら。
容保の視線から逃れるように。