流華の楔
最果ての幻影
二人の死から六ヶ月が過ぎる頃。
土方は再び戦に戻り、まるで迷いの心を振り切るように鬼の心を宿した。
隊士の中では「鬼の副長の再来」だと畏れられるようになった。
上等じゃねぇか、と土方は笑う。
それこそが新選組副長の本当の姿だと。
転機は、会津が敗北する少し前。
土方は早々に見切りを付け会津を去ったが、斎藤は恩義のある会津を捨てようとはしなかった。
結果、決別した。
沖田や藤堂もしかり。
曰く「己の道を行く」らしい。
今現在、試衛館時代からの仲間はひとりもいない。