流華の楔
「脱げ」
「…は?」
いや、あの。
意味わからないんですけど。
と、葵の表情が固まる。
「いいから脱げ!」
袷に手がかかり、無理やり押し広げられる。
本格的にまずくないか。
「いい加減、に…!」
「うわっ」
条件反射のようなものだった。
とっさに土方の刀を抜き取り彼の首元に刃を突き立てる。
言うなれば、暗殺者の如く。
「くくっ、やっぱりか。そりゃあ数ヵ月そこらじゃ身に染み付いた癖は抜けねぇよな」
「…っ、しまった」
我に返った時にはもう遅い。
にやにやと悪代官さながらの笑みを浮かべる土方に便乗して笑ってみた。
…はは、は。