流華の楔




和早はふと何かを思い出し大鳥に向き直る。


「あ、大鳥さん。ついでに今日の軍議について話が…」

「君は今日軍議に出なくていいよ和早、いや…今は葵ちゃんか。土方君とゆっくり話し合うと良い」

「は? あの…」

「ああ。ありがたくそうさせてもらうぜ」



反論しようとする和早の前に口を出し、土方は彼女の手を引いて部屋を出ようとする。

が、和早は踏み留まった。



「私用で職務を放棄するつもりはありません」

「……お前はそれでいいんだろうが、俺はまだお前の何も解っちゃいないんだ。頼む」

「………」


訴えるような視線に根負けした和早は渋々承知し、大鳥に一礼して前を行く土方の背を追った。



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