流華の楔
その後──。
和早は容保の部屋に通され、一対一で向き合った。
「実はな和早……お前に頼みがある」
先程と打って変わって神妙な顔をする容保。
「はい」
いったい何事かと、自然とこちらも身構える。
「お前に、浪士組の様子を見に行ってほしいのだ」
「なるほど……って、は?」
浪士組は、家茂公上洛の護衛を目的に募り、成り行きで会津藩お預かりになった集団だと聞いている。
そこに潜入とは、如何なる意図があるのだろうか。