流華の楔
「あ、言っておきますが、近藤さんとか皆のことは理解していると思いますし、信用してますからね」
「ふふ、そうでしょうね…見ていればわかります。…私を嫌っていることも」
言葉とは裏腹に、柔らかい表情をみせる和早。
沖田は何も言わず、視線を下の方へ落とした。
「………」
「…………」
二人とも沈黙している為、外で藤堂たちが言い合っている声が良く聞こえてくる。
不意に、沖田が立ち上がり和早の前に片膝をついてしゃがみ込んだ。
徐々に近づく互いの距離。
見つめ合うこと、数十秒。
「嫌いじゃないですよ」
土方に耳打ちしていた時よりも近い、沖田の唇と和早の耳。
囁いたその言葉は、否応なしに彼女の息をつめさせる。