流華の楔
和早は痛みを堪えて立ち上がると、隠し持っていた二丁の短銃を取り出し両手に構えた。
ちなみにこれは坂本龍馬が持っていたものと同じ型である。
「私が死んでも先に進んでくださいね」
「お、やっと決めたか (つーかいいモン持ってんなコイツ)」
「この先にあるものは地獄か楽園か……早めに確かめるのも悪くないかと」
弾は各六発。
途中で弾切れしたら、相手がどんな武器で来ようが刀で戦うしかなくなるが。
それでも、試す価値はある。
「この背中、預けますから」
「おう。わかってるだろうが、俺の背中は最後までお前が護れよ」
「勿論」
嗚呼…これで死ねなくなったな。
和早は薄く微笑み、退却の経路を模索した。