流華の楔
「はあ……前々から馬鹿だとは思ってましたけど、ここまで来ると救いようのない大馬鹿ですね」
「ああ…大馬鹿者だな」
沖田に次いで永倉がしみじみと言うが、この二人はおろか全員から憐みの(生温い)目で見られている気がするのは何故だと和早は思う。
救いようのない大馬鹿とは何ぞ。
「何と言われようが裏切りを働いたのは事実。土方さんを含め、皆さんに合わせる顔などどこにも、」
「あるだろ、いくらでも」
と、大げさに見えるほど布に巻かれた土方が和早の隣に腰を下ろす。
「何度も言わせるなと言いたいところだが、言わせてもらう。お前は両家の板挟みにあっても決して手前の信念は曲げなかった。だからお前はここにいる」
充分じゃねぇか、そう付言する土方の手が頭に乗る。