流華の楔
◇後日談
数年後。
「いやー! 花嫁衣装も似合うたぁさすが新崎だぜー」
「新八さんうるさいよ」
「ちっ、本当は僕が彼女の隣にいるはずだったのに」
「総司…ちょ、刀!? もう酔ってんの!?」
沖田・永倉・藤堂がそんなやり取りをしている中、ひとりの男が和早に近付く。
洋装で、髪は短くなっていたが、和早はすぐにそれが誰であるかわかった。
「…斎藤さん」
端正な顔立ちはそのままだが、少しばかり痩せただろうか。
とにかく、会津藩と運命を共にした男がそこにいる。
「おめでとう、和早。本当は来ないつもりだったんだが……容保様がどうしてもと」
「そう、ですか」
「…でも、本当に来てよかった。お前のその姿を見れただけでも」
視線を下げ、斎藤は物憂げに微笑んだ。
…その背後に迫る黒い影。