流華の楔
「ていうか斎藤クン。君はもっと“読めない人”だと思ってたんだけど、いつの間にか普通の人間になってましたよね」
「…俺は最初から普通だ。あと話題をすり替えるな阿呆」
「いや明らかに普通じゃなかったし!! 阿呆って何!?」
不本意にも思いきり突っ込んでしまった。
まあ、斎藤の謎加減はちょっとした噂になっていたから真であるとして、年上に向かって阿呆とは……解せん。
沸き上がる不満を抑えていると。
「この期に及んで女ひとり諦められない生粋の阿呆」
「え」
「…俺もまた然り」
「……」
沖田は言葉を呑んだ。
何だか、身に覚えがありすぎて仕方がないのだけれど。