流華の楔
「まあ、視察程度だ。何かあれば適当に報告するだけでよい」
容保は得意げに「少し考えがあってな」と付け加える。
「わかりました、善処します」
容保は命令を強要することをしないが、無理な条件でもない限り拒否するという選択肢は和早の中にない。
「ところで……何故私なのですか?」
「うむ。私の周りで最も信頼できる者をと思ってな。今回は特別だ」
「……特別、ですか」
容保が“特別”の二文字を使う程の価値を、彼らのどこに見出だしているのだろうか。
「(ひとまず行ってみるか…)」
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