流華の楔
美剣士、入隊す
数日後、京の町。
浪士組屯所を目指し、和早は道を急いだ。
「………」
開けた場所を歩くのは久しぶりで、思わず辺りに気を取られる。
しかし、その邪魔をするものが……。
「オラ邪魔だ邪魔だァ!!」
罵声と共に、通りの中心を練り歩く集団が和早の目にとまる。
人々の活気が、水を打ったように静まった。
白昼から酒の臭いが著しく品位を落しているが──刀を差している辺り、彼らは一応侍なのだろう。
和早は徐に立ち止まり、冷めた視線で彼らが通り過ぎるのを待った。