流華の楔
「はあぁー…」
背後から聞こえた盛大なため息に和早が振り返る。
「あ」の部分に濁点までおまけ付きだった。
「土方さん……何ですかそのため息。死者への侮辱ですよ」
「はあ? 俺が葬ったのに侮辱も何もねぇだろうが」
「ああそうでしたね。…次も土方さんがやるんですか?」
「まぁな。芹沢さんくらいになると俺が出ねぇと…って、なんでそれを…!」
《本命は、芹沢鴨ただ一人。
新見の切腹は、彼を追い落とすための序章にすぎない》
「……と、永倉さんが喋りまくってました」
「(あ、あの野郎…)」
土方はまたもや、その柳眉を逆立てた。