流華の楔



その日の夜も、次の日の夜も、芹沢は止まることをしらず島原に通い続けた。


新見のいなくなった芹沢は、放し飼いの狂犬に等しい。




「…短期決戦じゃなかったんですか、土方さん」


沖田が愛刀を眺めながら非を鳴らす。


「いやそれは…近藤さんがよ…」

「近藤さんが…?」

「渋ったのだ、俺が!」


面目次第もない、と平謝りする近藤。


「いえ、悪いのは全部土方さんです。近藤さんは全然わるくないですよ☆」


「(変わり身早…)」



「けっ。何が『ですよ☆』だ。気持ち悪ぃ」


くるりと逆方向を向き、鼻であしらう。



「………」
「………」



お前らウケ狙いか? …と内心突っ込むその他大勢であった。
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