流華の楔
その機会は数日後にやってきた。
土方、沖田、藤堂が、芹沢の部屋の向かいに陣取る。
「角屋帰りの…泥酔状態にある芹沢さんを殺すのは、少々気が引けますね」
「短期決戦がどーだの言ってたのはどこのどいつだ」
「はい? 闇討ちを提案したのは土方さんでしょう」
「こんのっ…!」
「ねぇそこのお二人。起きちまうよ、敵さん」
藤堂が呆れ顔で二人を見据えた。
「……行きますよ」
「あ、おい待て総司!」
「じゃ、俺も行こうかね」
「あははっ…あれが闇討ち?」
よくあの小声を維持できるなと感心しながら微笑むのは、長い黒髪を闇になびかせる新崎和早。
「(新選組の変わり目くらい見ておきたいしね…)」
要は任務という名の見物である。