流華の楔
「さっすが、モテるねぇ新崎は」
俺に注文する時は意識してくれないのに、と少々不満そうな藤堂。
「でも、複雑ですよ」
男を装っいても、中身は正真正銘女なのだから。あまり嬉しいものではない。
「だよなー。俺も複雑…」
「藤堂さんも?」
「あ、いや…違っ!」
自らの失言に慌てる藤堂。
迷える男児は大変なのである。
「お待たせしました〜! お団子二本とお饅頭四個ですっ」
「…お、ありがとさん」
藤堂は助かったとばかりに甘味へ手を伸ばした。