流華の楔




しばらく無言で歩いていたが、河原まで来たところで藤堂は足を止めた。


甘味を食べたら、話そうと心に決めていたことがある。




「あ、あのさ……」


「…はい」


「あのー…」




言え、言うんだ…俺!

と、自分に言い聞かせながらも口ごもってしまう。



嗚呼、こんな時女馴れしている土方さんだったらすんなり言えるんだろうなと藤堂は思う。



あいにく自分はまったくと言っていいほど女馴れしていない。


好きな女はいたけれど、想いを伝えたことはない。





昨日から練習してた台詞は…。







「えっとー…」






緊張しすぎて、全部忘れた。


< 75 / 439 >

この作品をシェア

pagetop